ついにロードマップの中盤、法人設立について書く日がきました😊
個人が覚悟を決めて「億り人」を目指す投資をしていれば、節税のためいつかこの日が来ます。
自分も法人を設立したばかりではあるのですが、投資と節税を目的としたプライベートカンパニーの設立について考えていきます。
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会社設立の損益分岐点
現在個人もしくは個人事業主として投資をしている人は、果たして法人成りをすべきなのでしょうか?
目的は節税ですから、「どちらが金銭的に得をするか?」という視点で考えてみましょう。
所得税の恐怖
日本の所得税は「超過累進税率」と呼ばれる税システムを採用しています。つまり「個人が稼げば稼ぐほど、税金が重くなるというシステムです。」
下記は国税庁のHPからの引用です。
これは所得税のみの金額になります。さらに住民税10%が掛かってきます。復興特別所得税は割愛しても、課税所得額が695万円で33%、900万円で43%、1,800万円で50%、4,000万円で55%の税率です。
歴史の授業で、江戸時代の年貢は「五公五民」や「六公四民」と習ったと思いますが、正にそのような状態な訳です。
Eタイプ・サラリーマンであれば、この税システムに抗いようがありません。なぜなら源泉徴収なので、給料をもらうときには天引きされているからです。
ですがSタイプ・個人事業主や、Iタイプ・投資家であれば、抗うことができます。
法人税は優遇されている
個人の所得税と比較して、法人に課される法人税はかなり優遇されています。
プライベートカンパニーの資本金を1000万円未満だとすると税率は15%、年間所得が増えても23.2%以上に上がることはありません。
区分 | 税率 | |
資本金1億円以下 | 年間所得800万円以下 | 15% |
年間所得800万円超 | 23.2% | |
資本金1億円超 | 23.2% |
この他にも個人の住民税に該当する法人住民税と、地方法人税・法人事業税が掛かります。これらを全て含めた実効税率は29.74%とされています。事業税額は経費にできるため、次の式で算出できます。
法人・実効税率 = (法人税率×(1.00 + 地方法人税率 + 法人住民税率) + 事業税率)÷ (1.00 + 事業税率)
個人が頑張って働いても税率が上がっていくことに対して、法人はいくら稼いでも30%未満というのは不公平に感じる方も多いでしょう。
なぜこれほど法人税は優遇されているのでしょうか?
それは日本の国際競争力を高めるためです。
企業にとって税金は大きな支出ですので、日本の法人税が高ければ日本企業はもっと税金が安い国でビジネスをしようと思いますし、海外企業も日本進出を躊躇してしまいます。
「国内企業の海外流出を防ぐ」「海外企業を日本に誘致する」といった観点から、法人税の引き下げは国家間の引き下げ競争になっており、今後も引き下げが続くと予想されます。ちなみにイタリアの実効税率は24%、イギリスに至っては19%です。
「やっぱり法律は弱者を守ってくれない」「一般社員は苦しいだけで、社長だけ得をする」と思った方、その通りです。意識改革してお金の勉強をしない人は、残念ながら働いても働いても楽にならないのが真実です。
逆に我々も、優遇された法人税を受けられる会社側になれば良いのです。
実効税率は規模と場所で異なる
先ほどの実効税率29.74%は、資本金が1億円超の法人に対してのものです。
法人を設立する場所や設立年でも異なりますが、年間所得800万円以下の中小企業では24.81%、800万円超で33.59%となります。
損益分岐点を計算しよう
会社設立は時間も手間もお金も掛かりますし、解散手続きも大変です。闇雲に起業をしてはいけません。
ここではどれくらいの利益が出たら、会社設立を考えるべきなのかを、考えてみましょう。
1000万円のウソ
巷では「年間1000万円稼げるようになったら、起業すべし」という、ザックリとした指標が示されています。
これは半分は真実なのですが、半分はウソです。
当サイトがおススメする「Eタイプ+Sタイプ+Iタイプ」を実践する場合、もっと早く損益分岐点が訪れます。
損益分岐点を算出するために、個人も所得税・復興特別所得税・住民税を加味した実効税率で計算してみましょう。
所得税額 = 課税所得金額 × 所得税率 - 控除
復興特別所得税額 = 所得税額 × 2.1%
住民税額 = 課税所得金額 × 10%
個人・実効税率 = (所得税額 + 復興特別所得税額 + 住民税額)÷ 課税所得金額
課税所得金額 | 実効税率 |
195万円 | 15.11% |
330万円 | 17.19% |
695万円 | 24.14% |
749万円 | 24.81% |
900万円 | 26.27% |
1553万円 | 33.59% |
1800万円 | 34.98% |
4000万円 | 43.70% |
表中の赤い数値、195万円・330万円・695万円・900万円・1800万円・4000万円が、所得税の税率が変わる境界線です。
控除に加えて復興特別所得税や住民税があるので複雑ですが、課税所得金額が上がるほど所得税が支配的になっていき、実効税率と所得税率が近くなっていくことが見て取れます。
「五公五民ほどは、悪くない」と思われるかも知れませんが、これはあくまで課税所得金額に対しての税額で算出しています。会社から支払われた金額から多額の社会保険料などが引かれて課税所得金額になっていることを忘れてはいけません。
損益分岐点・Sタイプのみの場合
749万円の24.82%、1553万円の33.59%が、前述の中小企業の所得税率と一致する損益分岐点になります。
仮に年商1000万円のSタイプ・専業個人事業主がいたとして、経費で251万円掛かったとすると課税所得金額が749万円となり、法人の実効税率との損益分岐点となります。
もちろん法人化の費用や手間などは考えなければいけませんが、ざっくり「1000万円稼げるようになったら法人成りすべし」の根拠は、この辺りから算出されたものと考えられます。
損益分岐点・Eタイプを組み合わせた場合
前述の損益分岐点749万円というのはSタイプのみの場合です。
Eタイプ・サラリーマンをやりながら、Sタイプ・個人事業主やIタイプ・投資家を副業としてやっている場合の、損益分岐点について考えてみましょう。
個人として税負担する場合
- 仮に年収650万円のEタイプ・サラリーマンがいたとします。
- 社会保険料などで100万円が引かれ、サラリーマンとしての課税所得金額は550万円となりました。
- この時点での実効税率は22.48%で、納税額合計は124万円です。この金額が源泉徴収されています。
- この方がIタイプ・投資家として249万円稼いだとします。
- 経費の50万円を引いて課税所得金額は199万円です。
- 課税所得金額の合計は749万円となりました。実効税率は24.81%で、納税額合計は186万円となりました。
- 納税額合計から源泉徴収されている分を引いた税額62万円を、申告納税しなければいけません。
所得税の超過累進税率システムにより、実際には年収650万円のサラリーマンなのにも関わらず、投資で稼いだ分が増えて年収849万円のサラリーマンであると見做され、源泉徴収されていない税額を追加で申告納税しなければならないということになります。
追加の62万円を投資で稼いだ199万円で割ると、約31%になりますので、「せっかく投資で稼いだのに、かなり持って行かれる」という印象を持たれると思います。
次に個人としてはEタイプ・サラリーマンのみにして、副業でSタイプとIタイプを法人で担う場合を考えてみましょう。
個人と法人に分ける場合
- プライベートカンパニー名義で249万円稼ぎました。
- 経費の50万円を引いて課税所得金額は199万円です。
- 800万円以下なので実効税率は24.81%で、納税額合計は49万円となりました。
この時点で納税額に差額13万円程度が生じますが、法人設立や運営にかかる諸経費として無視します。
つまりSタイプ・専業個人事業主が課税所得金額相当の749万円を個人事業単独で稼ぐのに対し、タイプを組み合わせた場合はサラリーマンとして稼いだ分を引いて、損益分岐点を決めなければならないことになります。
Eタイプでいくら稼いでいるか、家族構成や各種控除はどの程度か、どこに住んでいるか、副業での稼ぎはどれくらいかなどで計算結果は分かれると思いますが、サラリーマン収入と副業収入の課税所得額合計が750万円に近づいてきたら、「自分は損益分岐点に達していないか」と考えた方が良さそうです。
額面ではない
今回算出した約750万円というのは、額面ではなく課税所得額なので注意しましょう。
①サラリーマン収入側は、年収XXX万円の額面ではなく各種控除等を引いた源泉徴収前の額面です。
②海外FX収入側は、稼いだ額からサーバー代等の経費を引いた額面です。
これら①と②の合計が、課税所得の総額になります。
国内FXは分離課税で税率固定なので、計算対象に含まれません。
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