損益分岐点を突破することが分かったら、法人設立に向けた準備に移りましょう。
法人を設立するには、定款と登記申請書を法務局へ提出する必要があります。つまりこれらの書類に書くべきことは、設立前に確定しておかなければなりません。
投資と資産管理を目的としたプライベートカンパニーなので「代表は自分」「住所は自宅」で問題ないと思いますが、そのほかの事項について考えてみましょう。
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法人は公器
様々な決め事をするめに、法人を作る意識・覚悟についてご説明します。
「企業は社会の公器である」という考え方は、パナソニック創業者松下幸之助氏の言葉です。
企業は世の中から、ヒト・モノ・カネを集めてビジネスをします。
- ヒトを1人でも雇ったら、その人を喰わせていかなければなりません。
- あなたが調達したモノは、第二次産業の労働者が作った製品です。元を辿れば第一次産業の労働者が自然から産みだしたものです。
- カネは天下の回りもの。あなたが稼いだあとは、その一部を税金という形で社会に還元する義務が生じます。
つまり企業とは世の中から様々なものを集めてビジネスをするわけですから、その結果を社会に還元する必要があるという考え方です。
我々が作ろうとしているプライベートカンパニーは、人も雇わないしリソースも最小限。節税できればそれで良いのかも知れません。それでも何かの目的のために、お金を稼ぐことを決意されたのだと思います。
少なくとも世の中で法人を興そうという人は「個人が儲かれば良い」ではなく、「社会の役に立とう」というマインドでいることを忘れないでください。
プライベートカンパニーを興す我々にも、世の中からは同様のマインドが期待されています。
商号
まず決めなければいけないのは、会社の名前である「商号」です。商号を決めるのには、いくつかルールがあります。
- 公序良俗に反しないこと
- 同一住所に同一商号でないこと
- 紛らわしい名前でないこと
- 他社の登録商標でないこと
少し気を付けなければならないのは、3と4です。
3については「聞いた人が勘違いしない名前を付ける」ということに尽きます。有名企業や同じ地元の有力企業のグループのような名前は避けましょう。
また4については、他者が登録している商標は必ず避けましょう。商標検索サイトで検索することができます。
まずは名前候補を考えて、法人番号公表サイトで検索をしてみましょう。
情報開示
法人を作ると、社会的な立場・信用の裏返しとして様々な情報が晒されます。
例えば法人番号公表サイトを使うと、無料で法人名から住所を検索することができます。
登記簿謄本は他人でも取得できますので、500円を払うだけで代表者名・資本金・事業目的まで見ることができます。
つまりプライベートカンパニーで「代表は自分」「住所は自宅」とする我々の、本名と自宅住所が晒されるということです。
例えば本業の会社仲間に秘密にしたいのであれば、会社名すら教えてはいけないことに留意しましょう。
会社の種類
次は会社の種類について考えましょう。
株式会社
「株式会社」は一番有名な会社形態かと思います。国内の有名な企業はほぼ株式会社ですよね。メリット・デメリットは以下の通りです。大きな事業を興すための会社形態と言えます。
メリット
- 知名度が高い
- 出資者以外から役員を選べる
デメリット
- 設立費用が高い
- 決算公告義務がある
- 役員の任期がある
合同会社
「合同会社」は株式会社に比べるとマイナーです。以前は「有限会社」というものがあったかと思いますが、それが合同会社に代わったという理解でよいと思います。
「全然聞いたことがない」と思われるかも知れませんが、グーグル合同会社・Apple Japan合同会社・アマゾンジャパン合同会社のように外資系の名だたる企業も、合同会社の形態を取っています。
メリット
- 設立費用が安い(6万円)
- 決算公告義務がない
- 役員の任期がない
- 出資比率に関係なく損益分配が可能
デメリット
- マイナー
- 出資者以外から役員を選べない
- 代表者の肩書が「代表社員」
どちらが良いか?
我々の目的は投資と資産管理を目的としたプライベートカンパニーを作ることです。
融資も受ける必要はないと思いますので、信用の高さよりも経済的な合理性や会社のメンテナンスコストを優先して、合同会社で十分であると自分は考えます。
本業の会社に必要以上に情報を晒さないためにも、株式会社の決算公告義務などは負いたくないところです。
唯一のデメリットは代表者の肩書が、いまいちなことです。株式会社の場合は「代表取締役」なのですが、合同会社だと「代表社員」になります。なんか労働組合の「社員代表」みたいで、とてもカッコ悪いです。
代表じゃない一社員みたいな響きですよね😅
でも投資と資産管理を目的としている限り、この肩書を他人に晒す機会はほぼありません。あっても「代表です」と名乗れば良いわけですし。
体面にこだわって株式会社のデメリットを負うのは、得策ではないと個人的には思っています。
事業年度
次は事業年度について考えましょう。
年と年度
そもそも「年」とは何でしょうか?
1月から始まり、12月で終わる暦のことです。「暦年」とも言います。日本で使われる主な暦年は2つあり、平成・令和のような和暦と、2021年のような西暦です。英語では"Calendar Year"と呼び、よくCYなどと略されます。
その暦年を、特定の区間で区切ったものが「年度」です。
日本で一般的に年度と言えば「4月始まり、3月終わりの1年間」のことを指しますよね。これは正確には国や地方自治体が運用している年度で、学校もこの年度で回っているため「年度と言えば4月始まり」という認識があると思います。
大企業もこの4月始まりの年度で運用されていることが多いと思います。事業年度は会計年度とも呼ばれます。英語では"Fisical Year"、FYと略されます。
3月決算は総会屋対策
企業の事業年度は選べるにも関わらず、なぜ大企業はこぞって4月始まりの年度を選ぶのでしょうか?これは「総会屋対策のため」と言われています。
株式会社で開催が義務付けられている「定時株主総会」は、事業年度の末日から3か月以内に召集しなければならないというルールがあります。つまり3月末日から3か月後の、6月末日までには定時株主総会を開催しなければならないということです。
もうお分かりになりましたね。
総会屋のターゲットにされる大企業が、国・地方自治体に合わせて3月決算、そして6月定時株主総会開催とすることで、物理的に総会屋の手が回らなくしたのです。株主総会を妨害するには相当数の人数を紛れ込ませる必要がありますが、同じ日に開催されると1社2社しか回れないという訳です。
事業年度はどうするべきか?
それでは大企業でもないプライベートカンパニーは、いつを事業年度にすべきなのでしょうか?
この問題もやはり、経済的合理性によって決めることにしましょう。
まず「暦年と同じ12月決算」はやめましょう。
なぜなら個人事業主の会計年度は暦年と同じだからです。法人とは違い個人は会計年度を選ぶことができません。個人は必ず12月に会計を締め、2月中旬から3月中旬までに確定申告を行いますよね。
このため税理士に頼むにしても仕事が粗くなる恐れがあり、あなた自身の忙しさとも重なるためです。
同様の理由で税務申告月が1~3月になる決算月も避けましょう。法人の税務申告は決算月の2か月後ですので、逆算すると11月以降は避けた方が良さそうです。
また大企業と同じ「3月決算」も、税理士が忙しいという同じ理由でやめましょう。また税務調査が本腰を入れて行われる、2~5月も避けましょう。
以上から6~10月を決算月にするのが良さそうです。あとは個人の忙しさなどを考慮して決めると良いでしょう。
自分は8月を選びました。
資本金
資本金とは、法人がビジネスを運用する上での元手となる資金のことです。プライベートカンパニーですので、あなたが最初に法人に投資する資金となります。
投資と資産管理を目的とした会社ですので、用途としては投資の軍資金となります。FXであれば証拠金ですね。
手続き
代表である個人の資金を、法人の資本金にする手続きは下記の通りです。
- 個人銀行口座Aから、個人銀行口座Bに資本金を振り込む
- 個人銀行口座Bの明細を、振り込まれた証憑として法人登記時に提出する
- 法人銀行口座ができたら、個人口座Bから振り込む
法人設立前は個人の銀行口座しかありませんので、個人銀行口座間の資金移動を行うことで資金が存在することを証明します。振込手数料が無料のネットバンクで行い、振り込まれた側の口座明細のスクーンショットを提出すれば問題ありません。
その後法人を設立して法人銀行口座ができたら、速やかに資金を移しましょう。その後は法人銀行口座から、FX会社の口座に振り込んだり経費を支出したりします。
多すぎるのは良くない
プライベートカンパニーの資本金は、代表であるあなたのお金ではあったのですが、資本金として拠出した時点で法人のお金になります。
従って個人で必要になっても自由に使うことはできませんし、いつか会社を解散する時までは返って来ません。個人の生活に支障がない額を拠出しましょう。
では余裕があればいくらでも拠出しても良いのでしょうか?
1つのガイドラインとして、1,000万円未満にすると良いでしょう。
1,000万円を超えると住民税均等割の額面が増えたり、最大2年間免除される消費税の納税義務を初年度から負う必要があり、経済的合理性に欠けてしまいます。
住民税均等割
個人事業主の場合、赤字であれば所得税も住民税もゼロになります。
法人の場合は赤字だったとしても、住民税均等割を負担しなければなりません。
この額は資本金と従業員数で決まっており、50人以下の法人の場合は1,000万円以下で年間7万円、1,000万円超~1億円以下では年間18万円となります。
法人を作る上で毎年かかる最低限の維持費として覚えておきましょう。
少なすぎても良くない
逆にどれくらい少なくても良いのでしょうか?
法人の資本金は1円以上で設定できます。でも1円とか数万円で作ることはおススメできません。
資本金とは、そのまま法人の信用に繋がるためです。
銀行口座を開設したり、クレジットカードを作ったり、ローンを組む時などに与信評価がありますよね?
個人であれば、その人の学歴・職歴・勤続年数・年収・クレジットカード利用履歴などで評価されます。面白いことに日本ではサラリーマンの信用が高いというのは、こちらの記事の通りです。
では、できたばかりの法人は何で評価されるのでしょうか?人間であれば産まれたて0歳児の信用を、どう評価するのでしょうか?
その指標が、資本金です。
資本金とは、裏を返せば創業者である代表が、その法人に対してどれだけリスクを負っているかという金額になります。
あなたですら数万円しかリスクを負ってない法人に対して、銀行やクレジットカード会社は口座やカードを発行するでしょうか?融資をするでしょうか?
そう考えると、ある程度の金額を資本金として設定する必要があります。
せっかくプライベートカンパニーを作ってFXの利益を節税しようと思ったのに、FX口座を開設できなければ意味がありませんよね。
結局いくらにすべきか?
では、結局いくらにすべきでしょうか?
結論としては、100万円以上1,000万円未満で、最初に投資に回そうと思っている金額+αが、1つの目安となりそうです。
投資の手段をFXにするのであれば、口座を作ろうとしているFX業者のHP等で、法人口座開設時の手順や条件を確認してみましょう。業者にもよりますが「資本金100万円以上」と明記されている場合があります。
また投資を目的としたプライベートカンパニーであれば、起業したら早速投資を始めたいところです。FXであれば初期証拠金として考えている額面は、資本金として法人に移すのが良いでしょう。
役員借入金で調整
資本金は最初の資金であり、例えば証拠金を増やしたい場合は役員借入金という形で、個人から法人にお金を貸し付けることが可能です。
役員借入金はいつでも個人に返せますので、「初期資金は資本金、そのあとは役員借入金で調整」とするのが柔軟に対応できると思います。
また「+α」の部分ですが、法人を作ると諸経費がかかります。
例えば法人設立時に個人が立て替えていた、登記費用・印鑑代などです。また法人を作った直後も口座開設のために登記簿や印鑑証明を取得することになりますが、これにも費用が掛かります。
想定している投資資金をいきなり取り崩すことにならないよう、諸費用を加えた額を資本金として設定しましょう。
ちなみに自分は300万円に設定しました。
事業目的
次は事業目的について考えていきましょう。
事業目的は登記時に必要になる項目では唯一のフリーフォーマットで、かつ複数記載できる項目です。
定款に記載する事項であり登記簿にも印刷されます。つまり他人にも見られるわけで、当然銀行口座やFX口座開設時にも参照されますので、よく考えて決める必要があります。
経費の正当性を説明する
投資の会社を作ったのであれば、投資の勉強をするために書籍を買いますよね?FXの利益を節税する目的であれば、システムトレードを購入したりVPSを契約したりしますよね?
これらは会社が利益を得るための経費なので、税務署には経費として認めてもらう必要があります。
利益を得るために経費として支出したことを正当化するため、投資を目的とした法人であることを事業目的に予め記載しなければいけないということです。
FXトレードをするのであれば「外国為替証拠金取引等の差金決済取引」、株式やCFDであれば「国内外の株式及びその他の金融商品に対する投資」、不動産であれば「不動産の賃貸、所有、管理及び利用」のような形で記載すると良いでしょう。
「事業目的」でGoogle検索すると、例文が沢山見つかるはずです。
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近い将来の可能性も含める
事業目的を後日修正するには、目的変更登記という手続きをしなければなりません。これには3万円の登録免許税と手間がかかります。
従って法人設立の直後にはやらなくても、近い将来にやる可能性があるものは記載しておくと良いでしょう。
自分の場合は上記3つの他に、「ソフトウェアの企画、開発、設計、販売及び保守」「インターネット等のIT技術を利用した各種情報提供サービス」を、現業として追加しました。
また、いつかやりたいと思っている「人材育成、能力開発のための教育及び教室の運営」も追加しました。
最後に「前各号に附帯関連する⼀切の事業」を、ワイルドカードとして追加すれば完成です。
例えば下記の様になります。投資が一番だと印象が悪いかなと思い、少し順番を変えました😅
- ソフトウェアの企画、開発、設計、販売及び保守
- インターネット等のIT技術を利用した各種情報提供サービス
- 不動産の賃貸、所有、管理及び利用
- 国内外の株式及びその他の金融商品に対する投資
- 外国為替証拠金取引等の差金決済取引
- 人材育成、能力開発のための教育及び教室の運営
- 前各号に附帯関連する⼀切の事業
増やし過ぎは禁物
事業目的の個数に制限がないとは言え、無数に追加して良いわけではありません。
法人設立時に想定していること、近い将来やるであろうことくらいに限定し、現実に即して記載すると良いでしょう。
登記簿に印刷され審査される文言ですので、「何でもござれ」の法人は怪しい印象を与え、ビジネスの実態が良く分からなくなり、審査にマイナスに働く可能性があります。
設立日
最後に設立日を決めましょう。これは法人登記書類を法務局に提出した日になります。
郵送で提出した場合は、その郵便が法務局に届いた日になってしまいますので、こだわるのであれば書類を持って法務局に行くべきです。
自分は2月22日の「猫の日」にしました😊
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