成長期待の米国株で年4回配当!配当貴族銘柄の買い方



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前のページでは、米国は経済成長・人口増加・投資文化といった理由から、今後も米国株は成長が期待できるだろうという結論を導き出しました。

ですが、成長が期待できる米国株に投資するのは短期のキャピタルゲイン狙いではありません。いかにインカムゲインを安定的に受け取り、引き出して不労所得生活を送れるかについて、考えてみましょう。

配当金での不労所得生活

複利FXで一億円稼いだ後は年利5%で回し、不労所得生活を送るための生活費を出金しなければなりません。あくまでも目標は「安定して年利5%で回す」ことですので、損失が出る可能性がある株の売却益=キャピタルゲインではなく、配当金=インカムゲイン狙いになります。

そしてインカムゲインを狙うと、お馴染みのポジション解消時のキャピタルゲインの損失問題が付いて回ります。

この問題を解消する方法の1つが、既に説明した「成長が見込まれる米国株を対象にすること」です。取得時よりも横ばいかそれ以上のレートが期待できるのであれば、キャピタルゲインは気にすることなくインカムゲインがそのまま利益として見込めます

安定的なインカムゲインを狙う上で、米国株が有利な点を説明します。

米国経済と配当金

アメリカの投資文化に裏打ちされて、米国経済は「株主至上主義」と言われてきました。

企業のCEOの一番の業務は「株主に報いること」で、①ビジネスを拡大して株価を上げたり、②配当を出して株主に還元するという考え方です。

日本で「配当金」と聞くと、「年1回もらえるもの」とイメージする方が多いと思います。日本企業では年1回か、多くとも2回程度が一般的です。

アメリカでは多くの企業が年4回の配当を行っています。このことからも、米企業が如何に株主を大切にしているかが分かると思います。

株主至上主義からの脱却

長年続いてきた株主至上主義ですが、最近はこれを見直そうという動きも見られるようになりました。

株主の利益だけでなく、環境・社会的存在意義などに目を向けようという動きです。

ただこれは株主至上主義に取って代わるものではなく、「これらも重要な投資指標として扱われるようになった」と捉えるのが良いと思っています。

利益を追求するのが企業の役割ですから、環境対策さえしていれば損失は出しても構わないという解釈はされないと思います。

行き過ぎた資本主義社会に対してのバランス取りと解釈するのが良いと思います。

配当を行わない企業

インカムゲインを当てに投資をするのであれば、確実に配当金を出してくれる企業を選ぶ必要があります。

意外と思われるかも知れませんが、ECで有名なアマゾンは「無配」、つまり配当金は0円です。

業績が悪化して無配になる企業はありますが、アマゾンの業績はご存じ絶好調。ですが成長分野に投資を行っていることから、無配となっています。

このような銘柄はキャピタルゲイン狙いの銘柄なので、いくら有名な会社でも本手法の対象とはならないので注意してください。

配当貴族とは?

前置きが長くなりましたが、いよいよ「配当貴族」について触れていきます。

米国株を買って保持し、年4回の配当金をもらって不労所得生活を送るわけですから、配当金が確実に出そうな銘柄を選ばなければなりません。アマゾンのように意図的に毎年無配にしている企業は避けることができますが、業績悪化で急に無配になったり、配当金が大きく減額される企業は避けることができません。

そこで銘柄選びの基準となるのが無配とは真逆の「増配」、つまり配当金額が少しずつですが増加している企業です。この増配が「長年継続している」企業を選ぶことができれば、安定したキャピタルゲインを狙えるのではないでしょうか。

25年以上連続増配している企業は「配当貴族」と呼ばれます。英語では"dividend aristocrats"です。"dividend"は配当、"aristocrats"は貴族ですので、そのまま配当貴族です。

長年増配するというのは容易なことではありません。これを実現できる企業は非常に安定しており、それができるだけの企業体力と利益体質を備えています。個人的には「自社の連続増配記録を維持するため、意地でも増配を継続するだろう」とも、考えています😎

これらの企業はコロナ禍でも増配をし続ける、非常にタフで頼もしい企業が数多くあります。

ちなみに貴族がいるのですから、王様もいます。50年以上連続増配している企業は「配当王」と呼ばれます。英語では"dividend king"です。

企業自体の大きな成長は見込まない

配当貴族・配当王の企業は、どれも有名な会社で成熟し切っているとも考えることができます。

アメリカでは株主に報いるため①ビジネスを拡大して株価を上げること、②配当を出して株主に還元すること、のいずれかが重要視されると説明しましたが、配当貴族・配当王の企業は①が難しいので②を実行しているのです。

従ってベンチャー企業のように急に株価が伸びて大きなキャピタルゲインを得られるという考え方ではなく、米国経済インデックスと相関する形で、順調に伸びてくれるだろうという考えると良いでしょう。

我々の狙いはあくまで、インカムゲインです。

配当貴族・配当王銘柄

ここでは具体的に、配当貴族・配当王と呼ばれる銘柄に、どのようなものがあるかを見ていきましょう。

以下の表は配当王(連続増配年数50年以上)、配当貴族(25年以上)の順に並べています。連続増配年数だけ見れば、他にも配当王・配当貴族の銘柄は多々ありますが、複数銘柄で平均年利5%を目指すべく2%以下のものは記載していません。年利は最新の配当月のものなので、今後も多少前後する可能性があります。

記号 銘柄名 年数 配当月 年利
PG プロクター・アンド・ギャンブル 63 2/5/8/11月 2.29%
EMR エマソン・エレクトリック  62 3/6/9/12月 3.05%
GPC ジェニュイン・パーツ 62 1/4/7/10月 3.32%
MMM スリーエム 60 3/6/9/12月 3.67%
JNJ ジョンソン・エンド・ジョンソン 56 3/6/9/12月 2.75%
KO コカ・コーラ 56 4/7/10/12月 3.35%
ABBV アッヴィ 46 2/5/8/11月 5.14%
MCD マクドナルド 42 3/6/9/12月 2.28%
XOM エクソンモービル 36 3/6/9/12月 9.86%
VZ ベライゾン・コミュニケーションズ   35 2/5/8/11月 4.23%
T AT&T 34 2/5/8/11月 7.30%
CVX シェブロン 33 3/6/9/12月 7.17%
CAT キャタピラー 25 2/5/8/11月 2.79%

このように、どこかで名前を聞いたことがある企業が多いことが分かると思います。年利の平均は4.4%なので、少しウェイトをいじれば5%を達成できそうです。

配当貴族の買い方①「銘柄分散・個別購入」

銘柄選定は済んだとして、買い方についても考えてみましょう。

コロナ相場のように一時的にお買い得な場面では、特定の割安配当貴族銘柄を一気に購入してしまうこともアリかと思います。ですがあのような急落・急回復相場は滅多に来ませんので、普段から定常的に購入する方法を考えます。

まず第一に、安定して回すことが目的ですので銘柄を分散させることが重要です。配当貴族の特定の銘柄だけを買い続けるのではなく、一定の年利以上でフィルタリングしたら、まんべんなく購入しましょう。これにより個社の業績に左右されることなく、インデックスに近くなります。

中には年利9%台の銘柄もあれば、2%台の銘柄もあります。ですが現在9%の配当を出してくれている企業が、今後もそれを維持してくれる保証は全くありません。ですので複数銘柄を購入し、平均して5%を狙う必要があります。

手数料で業者を選ぶ

購入には手数料が安いネット証券の利用がおススメです。

我々が狙うのは、株式を保持し続け配当をもらうインカムゲインです。キャピタルゲインと比較してもらえる額は小さいので、手数料が小さい業者を選ぶことが重要になります。

ネット証券会社は多々ありますが、DMM証券・楽天証券・SBI証券を例として米国株を購入・配当受け取り・売却する際の手数料を比較してみましょう。

手数料①DMM証券

取引手数料:0円(約定代金に依らない)

為替手数料:1ドル当たり25銭

配当金受け取り時のスプレッド:1円分

手数料②楽天証券

取引手数料:約定代金の0.495%

上限取引手数料:22ドル

売却時手数料:ドルベース約定代金 × 0.0000221ドル

手数料③SBI証券

取引手数料:約定代金の0.45%

上限取引手数料:20ドル

各社の手数料は上記の通りですが、少しややこしいですね。具体的にシミュレーションしてみましょう。

米ドル円レート:105円

銘柄値段:50ドル

数量:10

年利:5%

この数値でシミュレーションを行うと、購入金額は52,500円、年間配当は2,625円となります。この際にかかる各社の手数料は下記の通りです。

  DMM証券 楽天証券 SBI証券
購入時 125円 260円 236円
配当受取時 25円 0円 0円
売却時 0円 1.2円 0円
1年保有・手数料 150円 261円 236円
5年保有・手数料 250円 261円 236円
6年保有・手数料 275円 261円 236円

DMM証券は購入時は安く継続する度に手数料がかかるスタイル、他2社は購入時に手数料がかかるスタイルです。

最初はDMM証券が有利、DMM証券とSBI証券が逆転するのが5年後、DMM証券と楽天証券が逆転するのが6年後です。

楽天証券とSBI証券を比較すると、楽天証券を選ぶ理由はなさそうです。保持期間を長くして配当金をもらうのが目的なのでSBI証券を選びたいところですが、購入するタイミングを分けて保有することを考えると、常に5年未満保有のポジションを抱えるため、まずスタートすることを考えるとDMM証券に軍配が上がりそうです。

金融商品に頼るべきか?

証券会社の中には配当貴族だけを抽出したインデックスファンドを提供している業者もあります。これらは販売手数料・信託報酬・管理費用などの名目で2~3%の費用が掛かることが一般的なようです。

自分で個別銘柄を選んで買う必要がなく、金融商品によってはセクターを分けてリバランスしてくれたりなどメリットもありますが、手数料を考えると年利5%を目指してポートフォリオを組んでも2%になってしまう訳です。知識がない人向けの商品と言えるでしょう。

銀行には近づかないこと

ネット証券の手数料は、まだマシな方です。銀行の商品には決して近づいてはいけません。

昔の銀行の仕事と言えば、お金を集めて融資することでした。緩やかな経済成長が実現できていた当時の日本では、お金を借りてビジネスを回したい人が沢山いたので、何も考えずにこのような業務をやっていれば良かったのです。

これが1990年台になり、経済成長を前提としたビジネスモデルが崩壊し、銀行がどんどん統廃合されていきました。

2010年台になると、さらにマイナス金利が始まったので銀行はお金を留保しておくだけで赤字になり、かと言ってお金を借りてくれる人もいません。銀行の金利も0.001%という数字になりました。

今後は、お金を保管するために預金口座の維持手数料を取るスタイルに変わっていくと言われています。

このような苦境の中で銀行が販売しているのが、情報弱者向けの金融商品です。

信じられないくらい手数料を取られる、良く分からない名前の商品を、金融教育を受けておらずマネーリテラシーがない国民に売りつけるのが、彼らのビジネスです。

銀行員がおススメしてくるのは、あなたが儲かる商品ではなく、銀行が儲かる商品であることを理解し、銀行には近づかないようにしましょう。

銀行員と同様に、ファイナンシャルプランナーという肩書の人も、見極めが必要です。

日本型のファイナンシャルプランナーは収入源が手数料なので、銀行や証券会社から依頼された商品をいかにあなたに売るかを生業としている、営業のプロです。彼らが利益をもたらす顧客はあなたではなく、銀行や証券会社です。

欧米型のファイナンシャルプランナーは収入源が顧問料なので、あなたの資産をいかに守るか・増やすかという金融のプロです。

配当貴族の買い方②「時間分散」

「銘柄分散」では、ネット証券を利用し、1つの銘柄ではなく複数銘柄に分け、自分で購入することが、安定した年利を実現するポイントでした。

安定して年利を確保することを目的とした、2つ目の方法は時間の分散です。

一般的にドルコスト平均法のように、時間に対しても分散することでキャピタルゲインのブレを抑えることは重要とされています。

配当貴族ではこの時間分散に、もう1つの考え方を追加します。それは権利落ち日を迎える直前の銘柄だけ買うことです。

先ほどの表で、3/6/9/12月の年4回の配当月が設定されている銘柄がありました。

配当日とはその名の通り「配当が支払われる日」です。これに対して権利落ち日とは「配当をもらえる権利が消滅する日」で、その前日が権利付き最終日と呼ばれます。

例えば8/17に配当日が設定されている銘柄の権利落ち日は、約一カ月前の7/23、権利付き最終日は7/22です。

年4回の配当だと3か月に一度配当金をもらえるわけですが、3か月ずっと保有している必要はなく権利付き最終日までに銘柄を購入すればよいのです。

従って3/6/9/12月が配当月の銘柄は2/5/8/11月に購入するのが、資金効率の面からも良いと言えるでしょう。

日本株のような年1回の配当とは異なり、年4回もタイミングがある米国株ではそれほどシビアではありませんが、何月に権利落ち日があるかを意識して購入しましょう。

配当貴族の買い方③「再投資しない」

貰った配当金は再投資してしまいがちですが、現在は「資産を一億円に増やす」フェーズではなく、「資産を安定して年利5%で回し、生活費を抜く」フェーズであることを忘れないようにしましょう。

配当貴族は株取引なのでレバレッジが利かせられず、資産を大きく増やすことには向きません。資産を一億円に増やすのは複利FXの方が効率的です。

もらった配当金は再投資せず、出金して生活費に回しましょう。

年利シミュレーション

先ほどの配当貴族・配当王は連続増配年数でソートして、かつ年利2%未満のものを削っていました。単純に平均を取ると4.4%だった訳ですが、ウェイトをいじって5%を達成できるかシミュレーションしてみましょう。

基本的な方針は年利が比較的高い銘柄を多めに買うことです。年利が低い銘柄を完全に削ってしまうのは分散できずリスクが高いので、購入する数量に変化をつけます。

以下のシミュレーションでは、年利が7%以上の銘柄(緑セル)は多めに買い、年利が3%未満の銘柄については2回に1回にしてみました。毎月の数字は購入株数です。

配当月に偏りがあるので毎月の購入金額にバラつきは出ますが、2020年10月時点での株価で計算すると、平均購入金額は毎月45,831円、年間合計は549,875円となり、年利5.02%となりました。

米国株は株価レートだけでなく為替レートも関係するので、面倒くさがって一度に購入することは行わず、権利落ち日を迎える銘柄を毎月購入してリスクを分散しましょう。



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2020年10月4日

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