サラリーマン時代とは違う!帳簿の付け方と経費の証明



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Eタイプ・サラリーマン時代に「経費」といえば、社員が支払いを立て替えて領収書をもらってきて、経理部に渡すと処理してくれるシステムだったと思います。

Sタイプ・個人事業主やIタイプ・投資家になると、領収書やレシートを集めて保管するのも、帳簿としてまとめるのも自分でやる必要があります。

経費を支出したことを証明するために、証憑(しょうひょう)の集め方と帳簿による記録方法を学びましょう。

経費の証明

経費を証明するためには証憑が必要です。証憑とは取引があったことを証明する根拠・証拠のことです。

下記にある通り効力の強さは異なりますが、証憑自体を残しておくことが重要です。

効力の強さ

領収書 > レシート > 出金伝票

領収書

取引の証明として、一番証明する効力が強く一般的に使われるのが領収書です。

ただ領収書をもらう際に下記を確認しないと、効力が限定されますので受け取る際にチェックしましょう。

経費を証明する要件

  • 日付
  • 宛名
  • 金額
  • 但し書き
  • 発行元の住所と名前

宛名

宛名については受け取る際に相手に書いてもらうのがベストです。

低額であれば「上」様でも大丈夫ですが、どうせ書いてもらうのであればちゃんと書いてもらうか、もしくは空欄にしてもらって自分で書くのが良いでしょう。

但し書き

但し書きは、その支出が事業に関わる用途目的であることを証明するために、非常に重要な項目です。

「お品代」「商品代」ではなく「書籍代」「セミナー参加費」など、具体的な項目を書いてもらいましょう。後述の勘定科目を入力する際にも必要になる情報です。

発行元

発行元は、住所と名前(会社名)が書かれているかを確認しましょう。

領収書が「支出を証明する効力が強い」とされる根拠は、他人が発行しているからです。そのためにも発行元の情報が記載されているか確認しましょう。

また領収書は、税抜き価格が5万円を超えると収入印紙が必要となります。発行側の負担で貼付してもらうものですので、忘れずに確認しましょう。

レシート

経費の支払いがあったことさえ証明できれば、領収書でなくても大丈夫です。

例えばコンビニで文房具を購入した際は、レシートをもらった後にわざわざレジで領収書をもらい直すことはないと思いますが、問題ありません。

レシートは支払いの証明になりますが、1点だけ注意が必要です。

感熱紙の取り扱い

最近のレシートは感熱紙になっているものが多いと思います。

感熱紙は短ければ3年、長くとも10年ほどで印字内容が薄くなったり読めなくなってしまいますので、写メールで撮影しておくなどしておきましょう。この場合も原紙は捨てないで取っておきましょう。

感熱紙は光や熱で退色しやすいので、ポケットファイルなどに入れて冷暗所で保管すると長持ちします。ファイルも塩化ビニール製ではなくポリプロピレン・ポリエチレン製のファイルが良いでしょう。

ファイルに入れる際に印字面を内側にして2つ折りにするのも有効です。

この注意点はレシートだけでなく、感熱紙全般に対して当てはまりますので、レジからレシートロールを使って出力されるタイプの領収書の場合は、同様に注意が必要です。

またレシートに事業に関わる用途の物品と、そうでないものが混在する場合は、後で分かるようにマーカーなどでチェックしておきましょう。

出金伝票

領収書やレシートが他人が発行するため「支出を証明する効力が強い」ことに対し、お金が出ていったことを「自分で証明する」のが、出金伝票です。自分で記録するため証明する効力は比較的弱いですが、単純なメモ書きよりは信憑性が高まるので活用しましょう。

出金伝票で対応するのは、下記の場合です。

出金伝票で対応するパターン

  1. 領収書やレシートを、もらい忘れた場合。
  2. 領収書やレシートを、紛失してしまった場合。
  3. 領収書やレシートが、商売の慣例的にもらえない場合

1と2については気を付けましょうとしか言えませんが、出金伝票が威力を発揮するのが3番目のパターンです。

例えば投資セミナーに参加した場合、セミナーの領収書はもらえると思いますが、新幹線でもなければ普段の電車賃は領収書もレシートももらえないですよね?仕事関連の知人の結婚式に招かれたとき、受付で「領収書ください」とは言わないですよね?

このように商売の慣例的に領収書やレシートが発行されるのが一般的でない場合は、他人が支出を証明してくれないので、自分で証明するしかありません。出金伝票は文房具店で100枚綴りで100円程度で購入できますので、活用しましょう。

出金伝票を利用する際の注意点は、下記になります。

①都度書く

いくら自分で支出を証明できるからと言って、税務調査の前日にまとめて書いたら信憑性が無くなりますよね?

ベストは支出があったタイミングで毎回書くことですが、毎回が大変なのであれば、せめて毎月1回はまとめて書くようにしましょう。

②ボールペンで書く

支出を証明するのですから、後から改竄できては意味がありません。

鉛筆やシャープペンシルのように消せるものではなく、ボールペンで書くようにしましょう。最近は擦ったら消えるフリクションペンも売られていますが、消えない普通のボールペンで書くようにしましょう。

必要になるタイミング

以上の領収書・レシート・出金伝票ですが、必要になるタイミングはいつでしょうか?

確定申告は支出をまとめて数字だけで報告しますので、書類を一緒に提出することはありません。確定申告では提出しませんが、税務調査があった場合には提示が必要になります。

税務調査で提出できない場合には、支出の証明ができず青色申告の承認が取り消しになったり、経費でマイナスになっていた分の追徴課税となるケースも有り得ますので、年別にファイルなどに入れてしっかりと保管しておきましょう。

保管義務がある期間は「7年」です。7年経過したら処分するというよりは、自分のビジネスの証明としてずっと保管しておくと良いでしょう。

ココがポイント

税務調査で必要になるので、最低7年は保管しましょう。

経費の記録

経費の証明は領収書・レシート・出金伝票で行うとして、経費の記録はどのように行うのでしょうか?

当サイトではfreeeなどの電子会計システムを使った記録をおススメしています。

電子会計システムを使えば、日々の経費の記録だけでなく家事按分や年末の確定申告書類作成が半自動でできるので、帳簿付けがラクになります。簿記の知識は必要なく、お小遣い帳を付けられるレベルの知識があれば問題ありません。

こちらの図は電子会計システム「freee」の画面です。ほとんどの項目は入力に迷わないと思います。

ここではあまり聞きなれない、勘定科目について説明します。

勘定科目

勘定科目とは、収入や支出を仕分けするグループのようなものです。日々の収入や支出に対してグルーピングを行うことで、何にいくら使ったかを把握できるようになります。

またこの科目は確定申告を行う際の「青色申告決算書」でも利用されます。

実際に利用する科目にはどのようなものがあるか、Eタイプ・サラリーマンをやりながらSタイプ・個人事業主とIタイプ・投資家として不動産投資とFX投資を行っている場合をモデルケースとして、見ていきましょう。

まずは収入です。

勘定科目 内容
売上高

事業所得として確定申告する上で、メインとなる商品やサービスを提供して得たお金です。

不動産投資による家賃収入などが代表的です。

雑収入

事業以外で得られたお金です。

事業所得として認めさせるのは困難なため、FX投資や株による収入が分類されます。

ブログ運営によるアフィリエイト収入なども該当します。

給与所得以外に会社から支給される費用があれば、こちらに分類しましょう。

次に支出です。下記の支出は大きな額は作れませんが、不動産投資でもFX投資でも作りやすい経費になります。

勘定科目 内容
旅費交通費

電車賃やタクシー代などの交通費、宿泊費などの支出です。

物品買い出し・セミナー参加・不動産業者との打ち合わせなど、事業に関連している必要があります。

研修費

事業に必要な情報を得たりスキルを身につけたりするために参加した、セミナーなどの支出です。

新聞図書費

事業に必要な情報を得るために購入した書籍や雑誌などの支出です。

事務用品費

テーブルや椅子などの事務用品購入による支出です。

パソコンなども30万円未満の備品であれば、少額減価償却資産の特例により、減価償却ではなく一度に経費にすることができます。

消耗品費

事業に使う文房具などの小物購入による支出です。

コンビニプリントなどの印刷サービスを利用した場合も、ここに含まれます。

下記は不動産投資で作れる大きな経費になります。

勘定科目 内容
減価償却費 投資用アパートの建物などの固定資産取得にかかった額面を、法定耐用年数で割ったものです。
支払利息

投資用不動産のローン返却時の利息です。

元金分は経費にはなりませんが、利息分は経費になります。

租税公課

不動産を取得した初回のみ発生する不動産取得税や、登記時にかかった収入印紙代です。

毎年発生する固定資産税も、ここに含まれます。

下記は不動産投資を事業規模にして事業所得として申告することで、事務所費用として家事按分して積める経費です。

勘定科目 内容
地代家賃

住むために借りているマンションなどの家賃です。

事務所として利用している比率分を、家事按分して経費にすることができます。

水道光熱費

借りているマンションでかかった電気代なども、家事按分して経費にすることができます。

通信費

借りているマンションで加入しているインターネット接続のためのプロバイダ料金、スマートフォン代・月々の電話料金も、家事按分して経費にすることができます。

またFX投資でEAなどのシステムを動かすために借りているレンタルサーバー代も、ここに含まれます。



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